3回目の参加となりました、今回のふみサロ。
毎月課題の本があり、読んで感じた事をエッセイに落とし込んで書く文章サロンです。リブリオエッセイというそうですが、同じ本を読んで書いても、出来上がってくるエッセイは作者の個性が出るので面白いです。
今回は特に、それぞれの個性が爆発~!という感じの熱いサロンになりました。
今月の課題本『父滅の刃』樺沢 紫苑著とリブリオエッセイ
今月の課題本はこちらでした。
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本の内容が父性や父親について書いてあるのですが、それだけでなく、母性や家族についても言及してあり、奥深いテーマなので、何について書くかで結構・・悩みました。
一応800字という決まりがあるので、その範囲内で表現出来る内容を書こうと思って出来上がったエッセイです。
「生きるヒントは、イタリアの頑固親父にあり?」
セレクトショップで販売されている高い服を見て、どんな所で生産されているのだろう?などと考えるのは、業界関係者か、よほどの服好きであろう。
輸入卸の会社にいた頃、営業はイタリアのメーカー訪問に行くので、貿易担当の私も同行する事があった。
イタリアの生産元のほとんどは素朴なファミリー企業だ。だいたいイタリアの頑固親父社長と、奥さん、子供達で会社を営んでいる。ナポリは特に、その傾向が強い。
あるナポリのシャツメーカーと打ち合わせをして、頑固親父社長に近くのピッツェリアに連れて行かれた。営業の先輩達は「ココか~。」と溜息をつき、「美味しいけど、量がハンパない。全部食べないと社長に帰してもらえないから、ピザの端っこは残して真ん中だけ食べろ。」と。ピザは、本当に美味しそうだが、大きすぎる。「無理です~・・」「いいから真ん中だけ食べろ。それなら何とか許してくれるから。」と、ふっくら美味しそうな生地の端を残して食べる。社長はイタリア語しか話せないから、長男か次男が英語に訳してくれる。曰く「日本人は小食過ぎる。もっと食べないとダメだ!」という話で、毎回同じなのだそうだ。
帰国する日に挨拶にいくと、社長がジェスチャーで「車に乗れ!」。私達は「どこ連れてくんだ?」「フライトの時間大丈夫?」とザワつくが、超狭い立ち飲みのバルに連れていかれ、エスプレッソが出てきて、「飲め!」。頑固親父と先輩2人と私とで、エスプレッソを立ち飲みし、また車に詰め込まれてオフィスへ戻り「チャオ!」と社長は去って行く。「お別れの挨拶だったのか!」いつもこの調子で振り回されていた。
しかし、今考えると「良き父親の4条件」をイタリアの頑固親父達は持っていた。あの国は経済が発展している訳でも、国の制度が整っている訳でもない。国に頼れないからこそ、強い父を筆頭に、家族で結束して生きる必要がより求められるのであろうか。
イタリアでは今も健在の頑固親父も、日本や欧米諸国では少なくなっているように思う。自分で道を切り開いて生きていく時代。ヒントはイタリアの頑固親父にある・・のかも?